リラックスできる空間創り
医院を訪れる患者さんの多くは、病気をかかえ、あるいは病への不安とともに医院の門をくぐります。医院の設計にあたっては、そんな患者さんの気持ちを和らげ、ときほぐせるリラックスできる空間つくりが求められます。我が家にいるような安心感は患者さんの心を開き、より精度の高い医療の提供と信頼関係を築く第一歩となります。
では、患者さんにとってリラックスできる空間創りとは、どうすればよいのかをみていきましょう。
親しみやすさ
まず何よりも大切なものは、親しみやすさ。誰でも初対面の人と会った時、相手の方ににこやかに接してもらい早く打ち解けることができたとい う経験をお持ちのはずです。こんな時知らず知らずのうちに相手の方への信頼感や安心感も生まれてきます。つまり好感度が増したということになります。これは人だけに限った話ではなく建物にも大いにあてはまります。戸建てであれビル診であれ患者さんと最初に顔を合わせるのは建物であることが多く、まさに建物が医院の顔となり、患者さんの医院にたいするイメージつくりの第一歩となります。それ故、親しみ易い雰囲気つくりと同時に、ガラス面を大きくとるなど外からも中の雰囲気が伝わりやすくオープンで、迎え入れるような雰囲気つくりにより、入りやすくする工夫も必要となります。
プライバシーの確保
次にプライバシーの確保があります。標榜されている科目や患者さんの中には、病院にいっていることさえも隠したく思っている方も少なくありません。ましてや自分の病状などは、他人には知られたくないもの。信頼関係の確保には医療技術もさることながら患者さんのプライバシーを十分に尊重した計画が求められます。
安全性
さて、ここまではメンタルな部分の話をしてきましたが、次にハード面をみてみましょう。ハード面では安全性があげられます。わかり易い動線計画やユニバーサルデザイン、人にも環境にもやさしい素材選びなど、求められることも多岐に渡ります。
それ故、専門的な知識も必要になりますが、小さな一つ一つの積み重ねが利用する上での安心感を生み出し、信頼感へとつながります。「患者さんの目線」で求められることは、目を閉じていても利用できる、棲み慣れた我が家のような安心感といえます。