一級建築士事務所 設計本舗・W
日記

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誰がために鐘は鳴る

更新日: 2013年3月9日

hansyou

このところの春らしい陽気に誘われて散歩に出かけました。げんきんなものでほんの数日暖かい日が続くと何日か前のコートの襟を立てて歩いていた事など遠い昔のように思ってしまいます。

さて、この写真は通りすがりの近所の畑に残っている半鐘です。冬枯れの野に最後に残った柿の実のように畑の中にポツリと佇んでいます。とはいえ何かしら懐かしい気もします。よく見ると支えている木の柱には上っていくための足掛かりのような物もついています。何時頃からここに立っているのやら・・。まだこの地に人が少なかった頃、この鐘が集落の慶弔を知らせる大切な道具だったのでしょう。この鐘は物言わぬこの地の歴史の証人ということになるのでしょうか。そう思うと何かしらこの鐘に愛着がわいてきます。とはいえ、私がこの地に越してきてかれこれ10年近くなりますが、未だこの鐘の音は聞いたことがありません。今では地域の情報はローカル放送や防災無線がとって代わったということでしょう。子供の頃遠くで聞こえる半鐘の音に、平時にはない緊張感と期待感に子供心にドキドキした覚えがあります。遠くから聞こえる鐘の音や祭りの太鼓の音は、情報ばかりではなく心も運んだように思います。

このところテレビではPM2.5の話題で持ちきりです。加えて関東でも今日あたりから黄砂もやってくるようで連日の暖かさで飛び出したスギ花粉と合わせると暖かさに浮かれている場合ではなさそう。被災地ではこれに放射能の不安も加わります。おまけに海の向こうからは何やら不穏な空気までも聞こえてきます。なんとなく風に乗ってやって来るので自然災害のようにも思えますが多くは人為的な物が起因しています。最近ではこのように大量の情報がそれこそ風が吹くように毎日通り過ぎていきます。さてさて情報量が多くなった半面本当に人の心に伝わる情報が少なくなったように感じるのは私だけでしょうか。