一級建築士事務所 設計本舗・W
日記

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柿つながり

更新日: 2009年10月18日

柿渋

前回に続き再び柿の話になりますが、最近話題によく出るものに柿渋があります。渋柿を搾り発酵させて作った物で、染料や塗料など古くから幅広く利用されてきました。
最近では、近年の自然志向に押され建築用の塗料としても利用されています。昔は、家庭でも作られていたようで、生活に密着したものだったようですが、この柿渋、ご存知の方も多いと思いますが、匂いがとてもきつい。
発酵している訳ですから当然なのでしょうが、どうにも耐え難い。
強いて言えば困った秋の匂いの代表格「銀杏」と双璧を張り、どこか匂いも似ているといえるでしょう。
そのため、住宅など建物内部での使用は難しかったのですが、近年この匂いを抜いた無臭の柿渋ができ、建築材料としての利用が広がっています。
この写真は、今月開院する「分倍医院」の受付け脇の柱ですがここでは、クッション材代わりに麻縄を巻いた柱に柿渋を塗って待合室のアクセントにしています。
そういえば、この分倍医院の設計もそろそろ終わりに近づいた頃院長先生に「今年でこの柿も食べおさめですね。」と庭で採れた柿を分けていただいた事が思い出されます。
子供の頃は、農家の庭先には必ずあったもので、この季節になると先端を割った竹竿で実の付いた枝を絡めて採ったものでした。
さてさて、ここ分倍医院では、かつての病院と共に成長した柿の木は、この新しい病院により姿を消しましたが、ここで柿渋に姿を変え3本の柱となりで病院を支えていくことになったようです。